ブレーキ冷却定数からみたブレーキ冷却性能

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ブレーキ冷却はブレーキ制動性能に割り付けられる重要な性能目標の一つです。制動中に車の運動エネルギーは熱に変換されて、外へ放出しきれない熱はブレーキ自身が吸収し、ブレーキ温度が上昇します。制動性能要求としては短時間に車を止まらないといけないため、短時間に膨大な熱量(105W以上級)がブレーキ中に発生します。走行~制動が繰り返しているシーンであれば、ブレーキがとってもきつくなります。制動力を確保するためには、ブレーキ温度を作動目標温度を超えないように機能保証しないといけない。

ブレーキの発熱量はエネルギー保存則により、車速、車重、勾配および空力抵抗によって決まれるものであり、ブレーキ設計者には弄れないです。近年、摩擦で抵抗力を出せるブレーキも開発されていると聞いておりますが、摩擦がなくても必ずある形で運動エネルギーを熱に変換しないといけないため、新生代のブレーキでもきっと発熱量が変わらないと考えております。ブレーキ設計者の手で握ることができるのはブレーキの熱容量と冷却効率です。熱容量がでっかい、冷却が早いのブレーキが温度が上昇しにくいし、温度下がりも早いため、ブレーキの冷却性能の向上には、そういう方向に行くことが望ましいです。

ブレーキ冷却性能を評価するために、よく使われているブレーキ冷却常数があります。本文はその一つをご紹介します。

$$制動後のブレーキ温度変化に、下記数式を用いてブレーキ冷却常数を導くことができます。$$

$$ M \cdot C_p \cdot \frac{dT}{dt}=-A \cdot HTC \cdot (T-T_a) $$

そのうち、

$$\theta: 冷却常数[1/s]$$

$$ M: 質量[kg]$$

$$C_p: 比熱[J/kg \cdot K]$$

$$A: 表面積[m^2]$$

$$HTC: 熱伝達係数[W/m^2 \cdot K]$$

$$\tau:熱時定数[s]$$

$$ T: ブレーキ温度[K]$$

$$ T_a: 空気温度[K]$$

下記のように数式変換を行うと:

$$ \theta=\frac{A \cdot \ HTC}{M \cdot C_p} =\frac{1}{\tau}$$

$$ T^`=T-T_a$$

下記の式が得られる:

$$ \Rightarrow \frac{dT^`}{dt}=-\frac{1}{\tau} \cdot T^`$$

両側に積分をかけると:

$$ \int_{T_0}^{T^`} \frac{dT^`} { T^` }= \int_{t_0}^{t} -\frac{1}{\tau} \cdot t$$

下記の式が得られる:

$$ \color{blue} { \theta=\frac{1}{\tau}=\frac{\ln(T_0 – T_a)-\ln(T-T_a))}{t} }$$

上記によれば、冷却常数(θ)は非常にシンプルに求めることができます。制動後ある時間内のブレーキ温度変化履歴を実測またはシミュレーションで取得すれば、冷却常数(θ)を算出することができます。

熱時定数の冷却常数の逆数で、冷却常数の値が大きければ、熱時定数が小さくなります。熱時定数が小さければ、ブレーキが早く常温に戻る。逆であれば、ブレーキの温度の常温戻りが遅いとわかります。そのため、制動後は冷却常数を望大としています。

続きまして、制動中の数式を導いてみましょうか。制動中ではブレーキが発熱と冷却が同時に行っていることで、数式の右側に熱量の項が追加になります。

制動中の発熱量をq[W]にすると、

$$ M \cdot C_p \cdot \frac{dT}{dt}=-A \cdot HTC \cdot (T-T_a) +\dot{q}$$

Tの変換は少し変わります:

$$ T^`=T_b-T_a-\frac{\dot{q}}{A \cdot HTC}$$

ここ、熱抵抗をR[K/W]にすると、上式が下記に変換されます:

$$ R=\frac{1}{A \cdot HTC}$$

$$ T^`=T-T_a-\dot{q} \cdot R $$

つづき、

$$ \color{blue} { \theta=\frac{1}{\tau}=\frac{\ln(T_0 – T_a-\dot{q} \cdot R)-\ln(T-T_a-\dot{q} \cdot R))}{t} }$$

さらに、制動中のブレーキ温度を計算してみると、

$$ \color{blue} { T^`=T_a+q \cdot R-( T_a+\dot{q} \cdot R-T_0) \cdot \exp(-\theta t)}$$

上記ブレーキ温度の数式を見ると、ブレーキの温度は指数関係で初期温度から上昇していく。温度上昇の速さはやっはり冷却常数(θ)に支配されるが、傾きはqとRに決まれるとわかります。そのために、制動中は冷却常数を逆に小さくしたくて、熱時定数を大きくしたいです。

制動中の温度上昇の抑制と制動後の冷却促進が冷却常数に対する要求が相反していることが分かります。そのために、車両性能が要求されているシーンごとに、過渡的にブレーキ温度を確認して、妥当な冷却常数を決めないといけないと考えております。

弊社はTAIThermによるブレーキの3次元過渡解析ソリューションを提供しております、市場に想定されるリアルワールド的なドライブサイクル条件でブレーキの単体性能または車載状態での実車性能をシミュレーションで予測することできます。

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