全固体電池ができる前にどうする

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10年前に日本で電極材料上の新たな発見によって、固体電解質でリチウムイオン電池を作る可能性が示された。全固体電池は入出力パワー、低温高温耐性、エネルギー密度、コストが従来の電池より大幅に上回るポテンシャルを持っているため、全固体電池は次世代のリチウムイオン電池として”本命”とされていた。ただ、10後の今に至っても到底、全固体電池セルの量産技術、そのセルを一つの大きい電池パックにまとまるパッケージング技術はいまだにどちらの自動車メーカーも自信満々と”できる、できた”と言っていない状態だ。この業界の皆さんは20年代後期にできるかもしれないと曖昧的な言い方にしている、現実派の私としては、恐らく奇跡的なブレークスルーがない限り、本命の全固体電池の登場はさらに遅れてしまうと個人的に考えている。

まだ記憶が新しいところが、2017年末ごろに、トヨタとパナソニックは角型電池業務をめぐる提携を発表した。全固体電池の実用化についても協業範囲に含まれるとされいたため、完成車メーカーと電池メーカーの最強の2人は手をつないでやるのは、全固体電池を搭載した電気自動車は早くてオリンピックの時に選手たちに乗ってもらうであろうと楽観的に見ている方も当時多かった。しかし、2021年の今に来た我々は、現状の液体電解質電池(”液体電池”)よりなんでもよいものを開発するのは決してそう簡単にうまくいかないとわかった。2025年前に実用化はすでに間に合わない、2030年に全固体電池を搭載した車を世の中に送るためには、最遅2025ごろにあらゆる技術課題をクリアしないといけない。これから4年間、2030年前の実用化目標に対しても、かなり力を入れて頑張らないといけない。

カーボンニュートラルを全世界的に取り組んでいる中、自動車業界の電動化はすでに高速車線に切り替えた、本命の全固体電池を待つ時間がもうない、業界全体が舵を切っていると環境規制がますます厳しくなっていくのは、これから数年電動化できない自動車メーカーが生き残れることが考えられない。2007年ごろからIphoneをはじめとしたスマートフォーンの普及は移動通信業界に対する莫大な影響が今でも多数の方々の心に強い印象を残っている。他山の石としては自動車業界でも参考になると思っている。

全固体電池ができる前に、現状の液体電池をうまく使えばよくないだろうか。きっとそうだと決まっているが、液体電池は課題が残っている。

まだまだ高い

電気自動車(EV)は航続距離を長くするために、大きい電池パックを床下に載せている。その電池パックは車両価格の30%前後を占めている。500万円で売れている電気自動車であれば、その電池だけで150万円がかかるということ。ワランティ、リサイクルなどによって発生する費用または企業側にかかる負担を考慮しては、下手すると電池パックのコストがもっと高くなる。ということで、電気自動車の利益が圧迫されて、ほとんどの自動車メーカーは単純にEVを売るでは全然儲からない暗い話だ。

電池の単価ではよく単位エネルギーにかかるお金($/kWh)で表す。現在は大体パックレベルで$200/kWh前後までできている、2010年ごろでは$1000/kWhに比べてはダントツ的に改善されている。ただ、$200/kWhではどういう意味だろうを簡易計算してみよう。2021年の今では、市場主流として満充電400km以上走れるEVを作る。電費はだいたい8km/kWhとして計算すれば、少なくともエネルギー容量50kWhの電池パックを載せる必要だ、容量*単価では$10,000となる。要すると、今のEVでは少なくとも100万円以上に値する高価的な電池を載せているものだ。70kWh、100kWh級の長航続距離の車では、さらに150万円~200万円ぐらい軽自動車一台分ぐらいの電池を載せている。インバーター、電気モータ、コンバーター、温調系などを含めてる、コストがガソリンエンジンのパワートレーンよりコストが100万円以上高くなる。

電気自動車メーカーはEV事業を赤字ビジネスから黒字に転換するためには、電池の単価を必死的に削減しないといけないことが分かる。赤字黒字の変曲点は各社の開発効率、製造能力、台数規模などに経営的な数値によって影響されるが、大体では$120/kWh以下におさまないとダメではないかと思っている。現状の$200/kWhよりもさらに40%減しないといけない厳しい課題だ。EVの普及まで視線を伸ばすと、最終的に60$/kWh以下に持っていかないと無理であろう。だから、$120/kWh達成した以降に、さらに50%減ではもう現在の開発現場に立つエンジニア達が”アホだ”と怒られると想定している。

電池原価($/kWh)削減するためにどうするか

電池の単価を減らそうとすると、電池セルの単価を減らすとパッケージングコストを減らす両方面があると思う。電池セルの単価を減らすためには、安い材料への変更、製造プロセスの改善、標準セル採用による量的効果などの手段がある。そのうち、材料の変更が基本だ、なぜなら、セル単価の中に原材料の費用が一番大きいものだ。

液体電解液のリチウムイオン電池は吉野さんの最初の発明から”リチウムの酸化物+液体の電解液+グラファイト/カーボン”の構成が確立されてきた、自動車業界のみならずパソコン、携帯など他の業界にも幅広く使われている。液体電解液は有機溶媒系で作られていて、その成分は微調整の余地があるが、ほとんど一緒になっている。負極がほとんどグラファイトとカーボンでFIXしてあり、リチウムイオン電池材料には正極材がキーだ。

電気自動車に使われている正極材については、21世紀に入って20年にわたって、メインストリームとしては最初のマンガン酸系から三元系に移行してきている、三元系はNMCとNCAが代表的なものである。ほかにリン酸鉄系(LFP)の正極材もできているが、電圧とエネルギー密度が低いという固有問題があらてめ、日本では採用実績が少なくて、メインには中国の電池メーカーが注力している廉価セルとしている存在だった。リン酸鉄はこの2年間パッケージング技術の革新によって再び日米欧にも注視されたが、やっはり本質的な改善がないため、私個人的にはリン酸鉄が主流になったこともないし、なる見込みもないと考えておる。

3元系の電極材としては、原価削減技術ロードマップがクリアだ。NMCでもNCAでもコバルトという希有金属を使っているから原価が高くなっているといえるため、コバルトの成分を限界まで下げれば、セル原価が下がる。

高ニッケル化

ニッケルの比率を上げてコバルトを少なくするということだ。コストの削減のみならずエネルギー密度も上がるという一石二鳥の効果が得られる善策である。NMCを例とすると、NMC111⇒NMC532⇒NMC622⇒NMC811のルートで高ニッケル化が進んできた。NMC811はNMC111より原価が40%程度下がったというようだ。今後はNMC811よりも高いニッケル率の正極材ができるもおかしくないと思う。

一方、コバルトという安定剤がなくなっていることに伴って、高ニッケル化の正極材では高温耐性が悪化する。電池が連続走行や高気温の条件で、高ニッケルのNMC(811)では熱暴走してしまうリスクが高くなる。そのために、こうニッケル化の電極材の採用は、高度的な電池冷却システムを設けることとセットしないといけない。NMC811セル搭載した電気自動車は夏に発火したケースが2019年以来散々あった。

セルの大型化

パッケージングするときに、数百個のセルを決まった並直列関係で束ねるためには、いろんな付属物を追加している。例えば、隔離板、冷却板、厚いバスバー、太いハーネスなどがある。これらの部品ではセル個数を比例関係しているため、セルが多ければ、付属物の点数も増え、パッケージングコストが高くなる。そのために、パッケージング技術改善のキーはこれらの付属物の削減だ。

自然的に、セルを大きくしてセル当たりのエネルギー容量を増やせば、ひとパック必要なセル点数が減る。日本でもずっとセルの大型化技術を磨いていたと思う。2020年から中国の電池メーカーをはじめ、アグレッシブ的にセルの大型化を図ってきた、電池業界はいきなりセルの大型化技術について注目している。

一方で、セルの大型化はセルの剛性と強度が落ちる、真ん中が放熱しにくくて高温になりがちと容易に想定される、どうやってパッケージングするとに補強すること、どうやって電池を効率よく冷やすことが設計段階でかなり工夫しないといけない。そのために、この大型化セルの採用は、巧妙的な電池セル束ね方と冷却手法とセットしないといけない。

中国のある自動車メーカーはすでに”ブレード電池”という大型な電池セルを採用していが、それは熱安定性がよいリン酸鉄セルを採用しているから、リン酸鉄ではエネルギー密度が低いため、パックとしては結局重くなるため、その大型化の価値がかなり落ちている思っている。今後は、3元系のセルの大型化をチャレンジしないといけない。

まだまだ重い

ガソリン車では、燃料タンクに50Lぐらいのガソリンを入れれば、800kmぐらい走れるのだが、電池では500kmぐらいの航続距離のために、60kWh以上の電池を載せないといけない。ガソリン燃料では満タンで40kg前後であるが、電池では400kg以上に上る。EVのほうが10倍以上重いということだ。

航続距離を向上するために、容量の高い電池を載せる。容量の高い電池を載せると、車が重くなる。車が重くなると、電費が悪くなる。電費が悪くなると、航続距離が削られる。どうだろう、ガソリン車ではない課題はEVが特有していることが分かるね。電池が重い分、電費が悪くなることが決まっていた。

床下につけている400kg重い電池は走行時の振動、衝撃などに堪えないといけない。電池のケースが破れて、電池セル、高電圧部品などに異物が侵入されると、電気ショック、短絡、発火などのひどい安全事故に招く可能性が高い。 電池が電力供給をシャットダウンしたら、走行中に車が止まるという重大な安全問題が起きる懸念がある。高速道路に走行している車がエンストしてしまうという怖いことがあってはいけない。そのためには、車両が構造上電池を丁寧に保護しないといけない。一方で、部品が重ければ、重いほど振動、衝撃に対する耐性が悪化する。慣性によって加速度が著しく大きいものだ。床下に400kgぐらいの塊を守るのは悪夢であろう、車体設計屋はきっと苦しんでいると思う。今後、電池の大容量化に伴う重さ増加は、電池の安全性設計に従来のない課題を克服しないといけない。

電池を軽くするためにどうするか

電池の重量を減らそうとすると、コストと似ているように、電池のエネルギー密度の向上とパック構造物軽量化の両方面があると思う。

電池エネルギー密度の向上

電池のエネルギー密度の向上では、上記高ニッケル化も一つ有効な手段であり、他には負極材にも着目点がある。電解液もリチウムイオンの移動抵抗に影響が大きいが、有機溶媒系の電解液はほぼ最適解として確立されているため、改善代が少ない状況だ。

パック構造物の軽量化

パック構造物の軽量化は、上記セル大型化によって付属物の点数が減るから重量も下がるため、一つ有効な手段である。ほかには、パック剛性と強度設計の最適化にも着目点がある。パックの剛性と強度を満たすためには、一般的に強いパックケースとビームを設けている、これらの部品はサイズが大きくて重いため、その形状とLAYOUTを工夫してサイズを小さくすることができれば、まだ軽量化の余地がたくさんあると思っている。

弊社は電池セルまたはサプライヤーの選定、パック設計にコンサルティングを承っております。ご質問がございましたら、お気軽くに弊社までご連絡ください。

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