今年8月16日にバイデン大統領はインフレーション抑制法案（Inflation Reduction Act）を署名しました。BEV（バッテリ電気自動車）およびPHEV（プライグインハイブリッド自動車）に対して一台当たりMAX7500 USDの税金控除は盛り込まれています。ただし、控除を受ける対象には非常に厳しい制限がかかっています。米国市場へ導入する新車、導入済みの既存車両がこの控除を受けられる、受けられないによって販売の成立性について巨大な影響を与えると予測しています。すでに電動化シフトに手一杯になっている自動車業界は、本法案に対して先手を打たれたOEMがほとんどいないと考えると、これからの対応はあわただしくなります。最大な問題は時間です。本文ではこの法案の内容及びそのインパクトを徹底的に解説したく、ご参考になればと思っております。

米国経済再建プラン

バイデン大統領の施政綱領は米国経済再建プラン（Build Back Better Plan）に凝縮しています。2021年政権発足後直ちにこのプランの実現に系列的に法案活動が展開されています。

このプランは三つに構成されています。プラン１は連邦議会の上院の合意により、財政調整プロセスを利用して早期に米国救済計画法（Amarican Rescue Plan Act）として法案化の実現が叶えて、1.9兆USD程度の大規模財政出動を織り込んて2021年3月11日に成立しました。プラン２はオリジナルプランより縮小する形で、超党派の支持も得て1.2兆USDのインフラ投資雇用法案として2021年11月15日に成立しました。

1. アメリカンレスキュープラン(American Rescue Plan)
2. アメリカンジョブプラン(American Jobs Plan)
3. アメリカンファミリープラン(American Families Plan)

ところが、プラン２の一部とプラン３は民主党よりパッケージした形で3.5兆USDの米国経済再建法案(Build Back Better Act)として2021年９月に連邦議会に提起しましたが、超党派の支持を得ておらず、法案成立が難航していました。民主党中道派の上院議員のジョー・マンチン氏による反対がキーで、財政調整法案を可決するための単純多数の確保ができない状況に陥ってしまい、拮抗上院体制によって阻止されました。